紫式部によって著された『源氏物語』は、現代に至るまで千年にわたり読み継がれてきた古典の名作です。優れた人間洞察力に基づく個性豊かな登場人物が織りなすストーリーや、洗練された美意識によって紡がれた詩的で美しい言葉など、多くの人々を魅了し続けました。その後の物語や和歌に影響を与え、写本や研究書も膨大で、日本文学の金字塔というべき存在です。その影響は文学だけでなく、香道や能楽などの芸能にも及び、絵画や工芸のデザインソースにもなるなど、さまざまな展開をみせています。
平安時代を代表する女流作家・紫式部に光を当てながら、日本が世界に誇る『源氏物語』の文化史を紹介し、『源氏物語』の魅力を紐解きます。