イマジュリィ“imagerie”は、イメージ図像を意味するフランス語です。
本展では、本や雑誌の挿絵、装幀、絵はがき、ポスターなど、大衆性の高い版画や印刷物の総称として、このことばを用いています。技術革新を追い風に、出版文化が急速に発展した大正期、イマジュリィの世界も黄金時代を迎えました。当時、さまざまなイマジュリィを舞台に活躍したのが藤島武二、橋口五葉、竹久夢二ら新しい表現方法を模索していた画家たちです。彼らは同時代の美術界の動向と並走しながら、じつに多彩で魅力的な表現を生みだし、多くの人々の心をとらえました。こうした動きのなかで、やがて杉浦非水をはじめとするグラフィックデザイナーが誕生し、モダンデザインに大きな影響を及ぼしました。
本展では、大正イマジュリィの多彩なデザインやイラストレーションの数々をご覧いただきます。さらに、郡山市立美術館が所蔵するイギリスの書物や版画作品などを併せて展示し、大正イマジュリィとの関わりにも触れます。時を経てもなお、輝きを増し続ける大正イマジュリィの抒情性やモダン感覚あふれる世界をぜひご堪能ください。