事故により手足の自由を失い、今まで当たり前だった日常が、突然大きく変わった富弘さん。深い絶望の淵に立たされながらも、口に筆をくわえて詩画をかくようになり、詩画作家としての新たな日常を過ごすことになりました。
そんな富弘さんが野に生きる草花を描いた詩画は、私たちが何気なく過ごす日々の生活にこそ、かけがえのないものがあると語りかけています。たとえば、笑顔であいさつを交わせたこと、風で折れたひまわりを花瓶に生けてもらったこと、ふくろうのぬいぐるみを棚から下してもらったこと。普段は気付かないような、ささやかな日常、ふとした出来事。当たり前に過ごす1日の、そんな些細(ささい)なことにこそ、私たちが本当に大切にしたい「しあわせ」が隠れているのかもしれません。
本展では、草花を通してささやかな喜びを見つめる作品やエッセイを紹介します。ぜひ、ご覧ください。