地域ゆかりの美術家等を紹介するシリーズの展覧会で、牧野一泉を紹介する。
佐久で生まれ、南画家・牧野寒泉(まきのかんせん・1893-1973)を祖父にもつ牧野は、高校時代には「画家になることしか考えなかった」という。1970年4月に東京藝術大学絵画科日本画専攻に進学、教授だった師 日本画家・稗田一穂(ひえだかずほ・1920-2021)に出会い、稗田が会員として所属していた創画会を作品発表の場とした。日本画表現の自由な挑戦を繰り広げていた創画会で、牧野は従来の技法に捕らわれずAssemblage*など現代美術の技法を取り入れながら、画面上の新しい表現を模索している。牧野自身が選んだ作品40点は、その軌跡であり、それぞれが「現実の形象から離れた自立した造形」である。
(駐)*「寄せ集め」「組み立て」を意味する仏語。現代美術では日用品や廃棄物など立体物を寄せ集めて表現に使用する技法をいう。