日本の洋画は、江戸時代末に西洋の絵画を手本としてはじまりました。明治に入り、本格的に歩み出そうとしていた時に、急速な欧化主義への反動から日本の伝統的なものを重んじようとする動きが高まり、洋画も展覧会や美術学校から締め出されてしまいました。作家たちは、ある者は写生旅行を繰り返し、ある者は渡欧して新鮮な芸術動向に触れながら雌伏の時を過ごし、真の日本人の感性による洋画の姿を模索していました。
受難の時期を越え、黎明期を支えた作家たちは自ら筆を揮う一方で、美術団体や学校などで後進の指導にあたり、教え子たちは時に反発しながらも、その精神と技術を受け継ぎ、日本洋画の発展を担っていきました。日本の近・現代の具象画を中心としている「カメイコレクション」を通して、日本洋画の作家たちの系譜をたどります。
「カメイコレクション」は、近、現代の日本美術を代表する作家の作品を中心に、20世紀初頭の絵画運動で活躍し、日本人作家たちにも大きな影響を与えたモーリス・ド・ヴラマンクの作品、東北ゆかりの作家の作品のコレクションです。カメイ株式会社が長年にわたって収集し、1994年9月に当館が開館した折に寄贈、寄託を受け、広く皆さまに公開することとなりました。