写真家大辻清司(1923-2001)は、戦後日本の前衛芸術グループ「実験工房」のメンバーであり、変貌する時代の併走者として様々な芸術家たちの創造の現場や都市環境にレンズを向け、また独自の視点から数々のすぐれた写真論を執筆し、桑沢デザイン研究所、筑波大学、九州産業大学ほかで多くの後進を育てた芸術教育の実践者でもありました。
本展では、2008年より大辻に関する原資料の総合的なアーカイブ化をすすめてきた武蔵野美術大学 美術館・図書館「大辻清司フォトアーカイブ」の協力のもと、貴重な作品及び資料をつうじ大辻の写真と言葉をたどり、その現代的意義を浮き彫りにしていきます。
夕暮れどきの陽に彩られた草原をよぎる、来るべき世界への予兆に眼差しを凝らす大辻中期の傑作〈もしも…〉。
この1枚を今回の展示の核にすえ、大辻清司の探究した世界をたっぷりとご紹介します。ご期待下さい!