本展は、釧路市・道東の作家の収集をしている釧路市立美術館との所蔵品交換展です。
若くして賞を獲り、十勝を代表する画家として地元の画家仲間の憧れの的であった神田日勝(1937-1970)が出品していた全道展では、かつて十勝と釧路は同じ「道東支部」でした。その支部短信には日勝と並んで、望月正男、柳悟、米坂ヒデノリら、釧路の作家が台頭者として名を連ね、中には日勝同様、中央画壇への挑戦を試みた作家もいました。
釧路市立美術館では彼らのほか、のちに十勝画壇の指導的立場となる寺島春雄、日勝にとって独立展の先輩である松樹路人、全道展創設メンバーであった国松登らの作品も所蔵しています。
漁業都市ながら異国イメージも有する、十勝と同じ「道東」釧路。豊かな自然の中で生きる動物、漁港の風景に仮託された労働者、厳しい環境で人間に寄り添って生きる牛馬など、道東の絵画は十勝で営農しながら作品制作を続けた日勝の生き様や彼の作品とも相通ずるものがあります。
普段同じ会場に並ぶことのないコレクションが出会う「場所」で、釧路市立美術館の所蔵品と、当館の日勝作品との対比を通じ浮かび上がる「道東の美術」を通観することを試みます。