シュウゴアーツは山本篤と和田昌宏の展覧会を開催します。昨年から引き続き二回目となる山本篤の「映像小屋」はギャラリーの一室を映画館のような暗室にし、プログラム仕立てで新作を上映する空間です。映像というメディアはキュレーションの枠組みの中で多用されるようになりましたが、「映像小屋」は一枚の絵と向き合うように、山本の世界観に没頭するためのスクリーニングとして位置付けています。今年はゲストアーティストに和田昌宏を招き、ギャラリーの後室にインスタレーションを同時発表いたします。
国立奥多摩美術館やOngoing Collectiveなどの活動に関わる二人は長年にわたりお互いの制作に協力し合ってきました。会社員である山本は休日にロケに出かけ、ひたすら撮影に没頭します。そうして自分が見たい風景を映像として描き起こしていくことにアーティストとしての充実を見出しています。一方、和田は映像やインスタレーションを手法とし、身の回りの場や人との関係や物語から作品の姿を見出し組み立てます。匂い、音、温度、物理的な力など様々な要素を用いながら、文脈そのものを転換していくようなダイナミックな作品作りをしています。それぞれアプローチの異なる二人ですが、共に目の前に広がる現実から想像的な世界の糸口を見つけ出し、いまここに存在することについて語り合うための物語を作り続けています。
本展では山本は夕方から夜にかけての時間帯や、車を走らせながら風景を撮影し、時間や空間の変化とそれに対する人々の姿を映し出す6点の作品を発表します。和田はホワイトキューブのギャラリーに異質な光と影をもたらし、展示空間全体を別の次元へと変換する試みを行います。シュウゴアーツ、夏の展覧会をどうぞご期待ください。
2024年6月 シュウゴアーツ