兵庫県加西市に生まれた高瀨正義氏(1940~)は、サツキ盆栽を楽しむために昭和34年(1959)から華道御室宮容真御流(おむろみやようしんごりゅう)を学び、また、茶道もたしなむ中で、やきものに関心をもつようになりました。同年、神戸市で入手した丹波焼の壺を契機として、以後、兵庫県のやきものに魅せられ、約65年にわたる歳月をかけて五国の窯場を網羅すべく積極的に作品を収集しました。
氏のコレクションは、江戸時代後期に窯業を開始した三田焼(三田市)や珉平焼(南あわじ市)に加え、昭和時代まで生産した打出焼(芦屋市)や神戸絵付(神戸市)、篠山焼(丹波篠山市)など、近現代の作品を中心にしています。氏は、馴染みの古美術店や各地で開催される陶器市に足を運び、花器や茶器、食器など多種多様なやきものを幅広く収集し、コレクションを充実させてきました。
兵庫陶芸美術館では、令和2年(2020)から令和5年(2023)に氏のコレクション82件を受贈しました。これを記念して、特別展「受贈記念 高瀨正義コレクション 兵庫のやきもの探訪-五国の窯場を巡る-」を開催し、氏が独自の審美眼で蒐集した作品を広く紹介するとともに県下各地で生み出された変化に富んだやきものに親しんでいただきます。