「西の比叡山」とも称される書寫山圓教寺。
この名刹を代表する「三之堂」と「摩尼殿」に触発された世界的建築家・隈研吾が、パビリオン《くぎくも》を制作・展示します。さらに、圓教寺の開基・性空上人と和泉式部の出会いの逸話をもつ「はづき茶屋」が、人々の憩いの場としていっそう親しまれるための将来像も描かれます。
隈は、粒子や細胞のように小さな単位が集まったり離れたりすることで得られる生物的な「流れ」や「しなやかさ」を、大切なテーマのひとつにしています。《くぎくも》は、「散逸構造」と呼ばれる化学理論を手掛かりに、こうした考えを視覚化しています。
1,000年を超えて守り育まれてきた圓教寺の偉大な歴史と遺産。それらとの対話を通じて隈が示す建築の未来は、我々が現在を生きるための多くの気づきを与えてくれるでしょう。