歳を重ねると時々、妙にひっかる会話がある。
古くからの友F氏が晩年に「毎朝必ずザラ紙に無作為下で筆を走らせ書き留めている」と言ってきた。
その時にはそれが何を意味するかも判らず曖昧な受け答えをしてしまい、ずっといままで頭の片隅に眠っていた。
最近、それが物作りの起因らしきことに気づき、わたしも数ヶ月間続けて真似てみることにした。
毎朝、呆けた視覚で書きなぐると、その意味するものが確かではないがじわじわと滓(カス)のようなモノが浮かび上がってきた。
もうF氏は居ないが、やっと会話が成立しそうだ。
米国に住まいする教え子が手土産代わりにいかにもアメリカンポップな品を置いていく。ある時はアンティークなビスケット缶やパイプ煙草缶であったり、いかにもアメリカンなケバケバしい駄菓子など。
その中の一つに古き時代のコミック雑誌があった。
少年時代に古本屋でよく見かけた当時のアメリカンコミックである。
なんの脈絡もないこの二つのジャンクが今回出会ってしまった。
類推である。 中馬泰文