久留米絣は、19世紀初めごろに始まり、以後地場産業として、そして工芸、美術作品として、時代ごとの盛衰を経ながら久留米を中心とする筑後地域で現在まで伝えられてきました。地域によって柄の特徴が異なり、とくに三潴郡は大柄や絵絣と呼ばれる大きく華やかな柄行きが主流です。松枝家は三潴の地で西南戦争の頃から絣業に取り組み始め、時代の中で代々それぞれに藍に向き合ってきました。
本展では、松枝家が絣業を始めた初期の頃の絣や、絵絣を極め商品から作品へと昇華させていった玉記の作、そして玉記の絵絣を受けてさらなる光を追い求めた哲哉、哲哉とともに歩み制作を続けてきた小夜子、哲哉から技術を受け継いだ崇弘の作品まで、松枝家七代の久留米絣を、着物や着尺、裂、資料類など総点数約100点でご紹介します。松枝家が代々染め織り出してきた作品から、久留米絣のこれまでとこれからを見つめます。