エフではこれまでにもペッツ展(99年7月)、豆腐展(00年1月)と、美術の枠を超えた企画もお届けしてきました。 今回、縁あって開催するのは「鉄道グッズコレクション展」。併設のカフェには昭和20年代の東海道線の座席で特別席もご用意。鉄道ファンの方もそうでない方も、楽しんでいただける展覧会です。 永年、鉄道グッズを収集してきた故・瀬戸内健三氏。瀬戸内氏は、旧国鉄の関係者から譲り受けたそのコレクションを紹介する場所として、昭和38年、東京・千駄木に料理屋「せとうち」を、7年後の昭和45年には喫茶店「羽根田」を開店しました。 どちらの店舗も鉄道グッズによって埋め尽くされています。昭和20年代に実際に使われていた列車の座席。壁一面にずらりと並ぶ駅の看板や時刻表。そしてトイレのドアには新幹線の扉が使われているという徹底ぶり。店内には蒸気機関車など列車の走行音が静かに流れています。大人から子どもまで楽しめる趣味の空間として、旬の料理や香り高いコーヒーを楽しむ場所として、このふたつの店舗は、鉄道ファンのみならず地元の人々の憩いの場として親しまれてきました。瀬戸内氏は他界する平成11年まで、「駅長」として自ら店に立ち、訪れる人々と鉄道談義に花を咲かせました。 ギャラリー・エフでは、瀬戸内氏の主なコレクションを紹介する「せとうち・羽根田鉄道グッズコレクション展」を開催いたします。駅看板や座席、看板など、懐かしの昭和の心象風景を彩ってきた貴重な鉄道コレクションの数々を、江戸時代末期に建立された土蔵の中で展示いたします。