植松永次(うえまつ・えいじ 1949年 兵庫県神戸市生まれ)は三重県伊賀市を拠点に活動する現代美術家。1970年代、既成の美術表現に疑問を感じたことをきっかけに、土を用いた制作を始めました。土をはりつけ、乾かすことから始まった制作には、まもなく窯での焼成、野焼きの手法が加わり、長く「土と火」をテーマに制作が続けられています。自然の営みや宇宙の時間の流れに関心を寄せ、自らの存在をこの一部ととらえる植松は、空や星の動き、草木や虫の息遣いに意識を向けながら自らの制作を試みてきました。「できるだけつくらないようにつくる」ことを心がけ、制作においては土の個性を観察することや、偶然に得られる発見や驚きを重んじています。その作品は一見素朴な土塊のようですが、素材の個性や自然のうつろいを観察する植松のまなざしが色濃くあらわれ、観るものの記憶や認識を強く刺激します。
本展では、柳原義達記念館の空間にあわせ、植松が新作と旧作を組み合わせた展示を行います。土や自然との対話からうまれた独自の表現を、ぜひお楽しみください。