熊野はユネスコの世界遺産に登録されてから20周年を迎える「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれるエリアです。その自然が生み出す荘厳な姿と、人々の長い信仰の歴史に魅了されて、多くの美術家たちもまた、熊野をテーマとして多彩な作品を残してきました。当館が所蔵するそれらの作品を主に、「目に映える熊野」、「旅する熊野」、「心に映る熊野」の三章によって紹介する展覧会を開催します。
第一章「目に映える熊野」では、近世の文人画家や近代の洋画家などによる、熊野の実景から受けた感興をもとに描かれた作品を展観します。第二章「旅する熊野」では熊野の旅に焦点を当て、熊野詣を主題とした作品のほか、美術家たちの熊野の旅のスケッチや版画などを紹介します。第三章「心に映る熊野」では、熊野での体験や記憶をもとに制作された心象風景としての熊野を、多様な表現を通してうかがいます。