ロダン、モネ、セザンヌ、ピカソ――。21世紀の今日もなお、私たちを惹きつける近代美術たち。鉄道や写真といった移動・情報手段の登場は、近代の人々に異なる文化との出会いを促し、芸術家たちはその出会いに刺激され、時に格闘しながら、新たな芸術を生み出していきました。異文化が出会い、融合し、混交する。そこから生まれるエネルギーこそが、私たちの心を捉えて止まない近代美術の魅力であり、特質であるといえるでしょう。
1930年に設立された大原美術館は、実業家大原孫三郎(1880-1943)の支援の下に洋画家児島虎次郎(1881-1929)が収集した、近代の西洋美術作品を出発点としています。その後、コレクションは西洋の現代美術、日本の近現代美術、民藝運動ゆかりの作家たちの作品へと範囲を拡大していきますが、その中核となるのは、やはり、19世紀後半から20世紀前半の近代美術であることは間違いありません。そして、大原美術館それ自体もまた、近代が産んだ文化遺産です。本展覧会は、「近代美術の大きな特質と魅力は、異文化の融合、混交にある。」という視点から、大原美術館の豊かな歴史とコレクションを活用して、「大原美術館独自の近代美術再検討」「文化交流の視点に沿った新たな展示」「作品と資料による時代相の再現」を試み、近代美術と大原美術館の魅力を新たな角度からご紹介しようとするものです。