木下佳通代(1939-1994)は兵庫を拠点に活動した、関西の戦後美術を代表する作家のひとりです。60年代半ばより、神戸で結成された前衛美術集団「グループ<位>」と行動をともにしながら、存在、認識、空間などをテーマに、三次元と二次元像のズレを、写真を用いて表現しました。1981年にはドイツで個展を開催、その後絵画へと軸足を移していきますが、1994年に亡くなるまで、一貫して「存在とは何か」という哲学的な問いに向き合い続けました。この展覧会では、作家の没後30年を機に、初期から晩年までの代表作を一挙に展示し、国内初となる美術館での個展として、作家の全貌を紹介します。