昭和10年、愛知県に生まれた清水氏は、35年に金沢美術工芸大学彫刻専攻を卒業し、彫刻家として本格的な活動を開始します。翌36年にはすでに新制作展で新作家賞を受賞し、37年も連続して受賞、47年には会員に推挙され、早熟の才能を開花させています。そして師、柳原義達との出会いによって、その造形表現はさらに深められました。また師がデッサンの虫であったように、清水氏も人体を納得のゆくまで何度もデッサンして、自己の感動を彫刻に定着させ、新たな作品における創造の糧としていったのです。
清水氏の作風は、終始一貫して人体であり、スペインの文学性をモティーフにした人体彫刻が70年代後半から現れはじめ、氏の作風に彩りを添え、作風が多様化して現在に至っています。また造形の本質と真正面に対峙し、真実の造形論を打ち立てています。俗なるものに流されない氏のこのような姿勢は、日本では数少ないものと思われます。
一方、清水氏は、こうした作家活動とともに、永年母校・金沢美術工芸大学で教鞭をとり、後進の育成に努め、平成13年退官されています。
本展では、清水氏の新制作展出品の代表作を中心に、作者の心に残るデッサンもあわせて展示し、その造形の世界をご覧いただこうとするものです。