本展覧会は、「放浪の天才画家」と称された画家・山下清の生誕100年を記念し、山下清の生涯を、代表的な貼絵を中心に紹介する回顧展である。山下清の生い立ちから、貼絵との出合い、そして、清の代名詞となった貼絵を始め、初期の作品や学園時代の作品、放浪の前後に描き上げた貴重な作品、初のヨーロッパ旅行の作品や晩年に挑んだ陶磁器の絵付け、ペン画作品を展示する。
山下清は、おそらく日本国内で一番著名な画家である。その事実は疑う余地がないだろう。しかし、ほとんどの人々の情報は、ドラマや映画からの影響に依存されている。実際の清はドラマの姿とは大きく違い、繊細でナイーヴな人物であり几帳面な性格であった。これほど著名な山下清であるが、実際に作品を観たことがある人は意外と少ない。そのため、初めて展覧会を通じ清の作品を観た人たちは一様に驚き、感動する。なぜならば、緻密で完成度の高い貼絵に魅せられてしまうからである。
この展覧会は、作品を通じ山下清の本当の姿を見ていただくものである。そしてドラマの中の山下清ではなく、芸術家山下清を後世に残すことを目的に実施するものである。