岡山藩の支藩鴨方藩士として生まれた浦上玉堂(1745-1820)が絵を本格的に描き始めるのは、50歳で脱藩した後のことでした。武士としての「勤仕」を捨てて「好事」のために人生を生きることを決断したのです。全国を旅しながら琴詩書画を楽しんだ玉堂の生活はまさに「文人」。その作品は、内面の陰影や自然の移ろいを、墨の表現効果によって繊細に描き出しています。本展は、玉堂の生誕地に建つ岡山県立美術館が所蔵する玉堂書画約90点を、前後期に分けて展示紹介します。
ここには倉敷の素封家・大原家から令和3年度に寄贈された作品も含まれ、関東では寄贈後初公開です。