インディアナポリス美術館は、約42,000点のコレクションを誇る、アメリカ合衆国の中でも最大規模の美術館の一つです。本展覧会では、同館の重要なコレクションの一つである江戸時代の絵画を中心にご紹介します。
江戸時代は、それまで800年の長きにわたって政治・文化の中心であった京都とは別に、江戸という新しい都市が形成され、新しい文化が生まれ成熟を遂げた時代でした。この時代に、前代から続く公家、武家に加えて新たに庶民層にまで豊かな文化が花開いたということは、江戸美術を見る上で重要な視点といえます。そこには多くの画家が登場し、まさに百花繚乱ともいうべき様相を呈していました。
同館のコレクションは狩野派、土佐派、丸山四条派、文人画、浮世絵といった江戸絵画のジャンルを網羅しています。曾我蕭白、鈴木其一らの作品は以前より知られていましたが、今回のようにまとまって公開されるのは初めてのことです。
日本美術は、明治初期の廃仏毀釈、第二次世界大戦後の大規模な流出を始めとして、近代以降海外への移動が相次ぎましたが、魅了されたかの地の人々によって収集され、鑑賞されてきました。それらは、近年しばしば在外日本美術の里帰り展というかたちで日本で公開されることが続いており、本展覧会もその中に位置付けられます。海外からの眼という新たな見方を加えて、江戸絵画の魅力を存分にお楽しみください。