当館では、二つの収集方針「地域ゆかりの作家の作品」「本をめぐるアート」に基づき、作品の収集を行っています。昨年度の新収蔵作品の中から、前期新収蔵品展(5月11日~10月11日)に引き続き主な作品を紹介します。
前期では「本をめぐるアート[日本編]」と題し、日本で制作された19点の本をご紹介しました。明治から大正初期の日本の雰囲気を示す和紙の冊子本から、2003年に制作されたオブジェ的要素の強い銅製の本まで、様々な形と試みのユニークな本が展示されました。
本展(後期)では、前期に紹介されなかった「地域ゆかりの作家の作品」から瑛九(えいきゅう)の作品を、「本をめぐるアート」からは「海外編」をご紹介します。
昭和26年より浦和にアトリエを構えた瑛九は、写真、美術批評、版画や油彩等、多彩な活動を行って日本の前衛美術を牽引した作家です。瑛九が浦和の地で制作した実験的な作品のうち、晩年の点描による油彩画へ至る過程で様々に行った試みの足跡をご紹介します。
「本をめぐるアート[海外編]」では、17、18世紀の挿絵本や19世紀末の雑誌、20世紀初めのアヴァンギャルドの本や30年代の写真集等、時代やジャンルをまたぐ様々な作品をご紹介します。版画による挿絵や頁装飾の美しい本、文字の工夫や実験的な写真集等、それぞれの本が持つ多彩な魅力にスポットを当ててご紹介します。