『徒然草』は、鎌倉時代に兼好法師によって著された随筆です。枕草子と並び称される代表的なこの随筆が、最も流行したのは江戸時代でした。その大きな理由は、印刷技術の発達といわれています。なぜ、江戸時代に多く印刷されたかといえば、それは『徒然草』が面白かったからにほかなりません。
では、江戸時代を中心とする近世の人々は、『徒然草』のどこに面白さを見つけたのでしょうか。本展示では、国文学研究資料館、国立国会図書館の貴重書と金沢文庫所蔵の徒然草コレクションによって、『徒然草』に「滑稽」を見出した近世の人々の読書事情を6部に分けてを探っていきます。
【主要展示品】
其の一、徒然草を再発見
徒然草絵巻 3巻 奈良絵本徒然草 12帖
其の二、秘伝と講釈
徒然草寿命院抄
其の三、学ぶ楽しみ―注釈書の世界―
なぐさみ草 首書営利徒然草吟和抄
其の四、可笑しい絵入り本
絵本徒然草 絵本垣衣艸
其の五、滑稽本で大笑い
つれづれ酔か川
其の六、浮世絵師の仕事
鍬形蕙斎 徒然草屏風 歌川広重 草筆画譜 第二編
≪コラム≫兼好法師の伝説を探る
兼好法師像(狩野探幽筆) 兼好法師行状絵巻