本格的な高齢化社会を迎えている現在、このほど板橋区立美術館では、「長寿」や「老い」を、美術作品を通して見つめ直した、ちょっと風変わりな題名の展覧会を開催いたします。
展覧会の前半部では、伝説や物語、芸能の世界で古くから長寿者としてイメージされてきた「翁」「高砂の尉と姥」「浦島太郎」「寿老人」が描かれた作品を取り上げます。長寿の願いが込められたこれらの画題は、還暦をはじめとする賀祝いは勿論のこと、お正月や雛祭、婚礼や大漁祝いなど種々の祝い事の席で好まれました。
後半部では、現実のお年寄りの姿を描いた作品を展示し、「長寿」と抱き合わせで浮かび上がる「老い」の現実に目を向けます。齢を重ねたゆえの味わい・魅力に溢れ、老いを生きるかつての私たちの姿との出会いを通じて、老いの本質を考えていただきます。
長寿・老いをめぐる造形表現の数々を楽しむと共に、お年寄りの長寿を応援し、また未来のお年寄りである若い方が、年齢を重ねることも悪くない、と感じられる展覧会を目指します。