巨匠・佐藤忠良
気品ある生命感と詩情に満ちた人間像で知られる彫刻家・佐藤忠良(1912年宮城県生まれ)は、日本の具象彫刻界を代表する巨匠として、活躍しています。
夕張・札幌で少年時代を過ごして北海道にもゆかりの深い彼の作品は、各地の野外彫刻などでも多くの人に親しまれ、洗練された造形美や、穏やかな情愛のこもる表現が静かな感動を呼びます。
造形の源泉
佐藤忠良が、まさに生活の一部として描き続けたのが、多彩な素描作品です。モデルを鋭くとらえたデッサンをはじめ、彫刻制作の手をやすめてながめた身近なものたちの素描、愛らしいこどもたち、旅先でのスケッチ、樹々や古木をみつめての自然との対話・・・鉛筆・コンテ・クレヨン・パステルなど、描く素材も技法も様々にあらわされた素描の数々を見るとき、そこには、作家のみずみずしい感覚と、こまやかであたたかいまなざしを感じるとともに、厳しい造形の眼というものに触れる思いがすることでしょう。
素描作品を一挙公開
本展では、こうした佐藤忠良の素描の独特の魅力を、自薦の150点の作品で紹介。作家愛蔵のブロンズ彫刻8点もあわせて展示し、素描と彫刻それぞれを通じて、美の道を歩み続ける作家のさわやかな叙情の世界へとご案内します。