佐賀県立美術館は開館以来、明治から昭和初期にかけて活躍した佐賀県出身の日本近代洋画の巨匠岡田三郎助(おかだ・さぶろうすけ、1869~1939)の画業と人物を紹介してきました。
岡田が洋画家を志した背景には、同郷の先達百武兼行(ひゃくたけ・かねゆき)の作品に間近に接して強く惹きつけられ、幼少期には、子どもながらに陰影を入れた絵を描いていた経験がありました。作品を「見る」行為は、作者やあらゆる鑑賞者の世界が、時間や場所、立場を超えて出会うことといえます。人同士の直接的な出会いはもちろんのこと、物言わぬ「作品」とその内に看取される作者の技法や感性との出会いもまた、人々に大きな影響を与えるのではないでしょうか。
今回、OKADA-ROOM vol.29では「めでたし、美の交錯」と題し、岡田三郎助を中心に6人の画家の優品を展示します。併せて、現在を生きる作家3人の作品として、池田学《誕生》のスピンオフ作品《鶴》や、岡田三郎助アトリエに着想した鶴友那・仁戸田典子の作品(平成30年度実施のアーティスト・イン・レジデンスにて制作)も御紹介します。
過ごしてきた年から新しい年を迎える〈めでたい〉この時期に、残されてきた、そしてこれから残されてゆく作品と出会い、愛(め)で、お楽しみください。