1928年盛岡市生まれの柵山龍司は1950年代に絵画作品を発表し、以後鉄の溶接による立体、コンピューターグラフィックスなど表現領域を広げながら、精力的に活動を続ける美術家です。柵山にとって作品を制作することは柵山の中に生まれ、蓄積されたものを確認するための作業であり、作品とは、柵山の感受する不可視なものを形象化した結果なのだといいます。「作品」ではなく「資料」なのだという言葉に柵山のアートに対する姿勢を見ることができるでしょう。この極めて私的な確認作業は、しかし、時代を映し、日常の向こう側の世界を垣間見せるものであるといえます。
本展では、我々の生きる今という時代の深部を探り続ける作家、柵山龍司の世界を紹介します。