国道16号線から森のほうへ、細くうねる道を歩いていくと、自然豊かな谷戸地域にあるYOKOSUKA ART VALLEY HIRAKUにたどり着きます。HIRAKUがある場所は、かつては鉱泉が湧き、湯治客が訪れていたそうですが、戦中になると海軍関係の職工などが多く移住し、戦後は長屋状の市営住宅が建っていました。YOKOSUKA ART VALLEY HIRAKUは、そのような記憶を持つ谷戸地域にアーティストを誘致し、アーティストと地域住民との芸術交流によって個性豊かなコミュニティの形成を目指す横須賀市の試みのひとつです。(2018年~) 現在、4名のアーティスト―薬王寺太一、山本愛子、折原みと、水戸部春菜がこの地に集い、地域の人々との交流や谷戸の自然、そしてここでの制作を通じて、その表現を日々更新しています。本特集は、かつて鉱泉が湧き出ていたこの地のこれまでとこれからに思いを巡らせながら制作する彼らの現在地を紹介しながら、昨今各地で行われているアートによるまちの再生化・特色化を改めて考えていくものです。