第17回京都美術文化賞を受賞し、日本の祭りや伝統風物の木版画、またNHK大河ドラマ「新撰組!」のタイトル画で知られる木田安彦。松下電工では20年来、カレンダーの作品を氏に依頼して参りました。グラフィックデザイン出身の版画家である木田安彦が独自の世界を表現するもう一つのフィールドがガラス絵です。ガラス絵の煌めきに魅せられ、制作を始めたのがおよそ25年前。近年美術の分野では真剣に扱われなかったガラス絵を木版が制作の傍ら描き続け、芸術の域にまで高めました。ガラス絵は、透明なガラスの裏側逆の順序で絵の具を重ねて完成させます。その不自然な手法には厳密な計算と大胆さが必要になりますが、木田安彦は卓越した表現でこれまで見たこともない華麗な世界を繰り広げていきます。その煌めきは、繊細な装飾性と力強い描写とともに、観る者を輝く色彩世界へと誘います。本展では当館所蔵作品を中心に、ガラスという素材の制約を超えた1メートル以上の大作、未公開作品そして最新作のガラス絵を約100点余展示致します。不動や舞妓から世界遺産の風景画まで、木田安彦のヒューマニズムと輝きに満ちたガラス絵の集大成をお楽しみください。