肉筆浮世絵とは、大量に摺ることが可能な木版画と異なり、絵師が直接描いた一点ものの作品です。直筆だからこそ、筆遣いや着物の柄など、細部にまで及ぶ絵師のこだわりを見ることができます。
浮世絵のジャンルは風景、役者絵とさまざまですが、肉筆浮世絵の世界では美人図が多く描かれました。
本展では特に初期浮世絵に着目し、風俗画から美人図の成立に始まり、浮世絵の創始者で優美な女性を描いた菱川師宣。肥瘦の強い線で強かな女性を描いた懐月堂安度と、門人の懐月堂度種。気品ある女性を描いた西川祐信や月岡雪鼎といった上方の絵師もあわせてご紹介します。
新年にふさわしい、江戸時代の粋で華やかな世界をご堪能ください。