田中功起(たなか・こおき、1975年生まれ)は、映像作品を中心に、立体、インスタレーションなど幅広いメディアによる作品を発表し、近年大きな注目を集めている作家です。倒れた缶からとめどなく流れ続けるコーラ、グラスのなかでカラカラと回り続けるサイコロ。日常のありふれた光景を無限に反復させる映像作品は、非日常の世界を浮かび上がらせ、様々な解釈を誘い出します。
今年2月から8月まで、田中功起はアジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)の助成を受け、ニューヨークのロケーション・ワン(Location One)にて滞在制作をおこないました。これまでとは全く違った環境のなかで、どのような作品が生み出されたのか、期待されます。
今回の展覧会には、ニューヨークやボストンで撮影された10のヴィデオと、群馬において制作される10のインストラクション(言葉による指示)が出品される予定です。会場となる展示室には仮設壁や展示台が迷路のように並べられ、展示室全体が一つの都市に見立てられます。私たちは都市を徘徊しながら、これらの映像や言葉と出会うことになるでしょう。
ニューヨーク滞在を経て、今後さらなる活躍が期待される田中功起の、新たな一歩がここから始まります。