このたび、茅ヶ崎市美術館では小さな版画の展覧会を開催いたします。第一部では、紙の宝石ともいわれる「蔵書票」を展示します。本の所有者を示すために書物の見返しに貼り付ける小さな紙で、愛好家たちのあいだでは、自身のものを制作するだけでなく、交換したり、集めたりして、楽しまれています。今回は茅ヶ崎市立図書館の協力のもと、「蔵書票」の魅力を国内でいち早く広めた書物研究家・斎藤昌三(1887-1961)のコレクションから、その一部を紹介します。第二部では、童画家であった武井武雄(1894-1983)が中心となり、恩地孝四郎、駒井哲郎、棟方志功、関野凖一郎など、錚々(そうそう)たる版画家を含む総勢161名が参加した年賀状交換グループ「榛(はん)の会」の年賀状を展示します。手のひらにのるほどの紙に収められた小さな版画世界を、どうぞお楽しみください。