福島県伊達市出身の精神科医・金子元久氏は、現代日本の版画や蔵書票の収集家としても知られています。当館では2022年度に同氏から130作品の寄贈に加え、400点以上の作品の寄託を受けました。なかでも木版画家・黒崎彰の作品は90点にも上り、初期から晩年まで彼の作風をたどることができる貴重なコレクションと言えます。
その収集品は、どれもコレクターの深い愛情が詰まったものばかりで、ひとつのまとまり(小宇宙)を形成しています。本展は黒崎彰に加え、木口木版画家・柄澤齊や銅版画家・北川健次、日本の現代美術の動向のひとつである「もの派」を主導した李禹煥(リ・ウファン)など、戦後の日本版画界を代表する作家から、シャガールのポスターまで、約250点の作品を通して、同氏のコレクションの全貌に迫ります。