木田金次郎(1893-1962)は故郷である岩内を中心に、数多くの作品を描きました。正確な点数はわかりませんが、61歳のときに罹災した「岩内大火」(1954/昭和29年9月26日)では1500点~1600点もの作品を焼失したといわれているので、その後再起を果たして描いた作品を含めると、生涯に描いた作品は数千点にのぼります。
当館に所蔵されている木田作品は、大きいもので40号、小さなものでは0号というカンヴァスのサイズです。40号という大きさは、他の画家から見ると、決して大きなサイズではありませんが、岩内周辺の自然と向き合って描いた作品からは、その場の風や潮の香りまで感じさせるような迫力が、観る者に伝わってきます。この、自然と真剣に対峙する姿勢とその作風が、多くの人を惹きつけ、北海道を代表する画家のひとりとしての位置づけを、確固なものとしています。
今回の展覧会では、木田の作品の大きさに注目し、30号・40号といった「大作」と、10号以下の「小品」、それぞれの魅力の探究を試みます。
様々な大きさの作品を通して、木田作品を再発見する機会になれば幸いです。