宮城県美術館が、小説家・画廊主・収集家として知られる故州之内徹氏(1913-1987)の生前の美術コレクションを収蔵したのは昭和63(1988)年のことです。コレクションは、おもに日本の近代・現代の油絵87点、素描・水彩44点、版画13点、彫刻1点、日本画1点、90作家の146点からなり、氏が運営に携わった現代画廊での展示会活動にも現れていた独自の批評眼と、作家や作品に対する愛好のさまを窺うことができます。
「洲之内コレクション」と呼ばれて親しまれてきたこれらの作品の中には、洲之内氏が、随想『絵の中の散歩』(新潮社、1973年刊行)や雑誌『芸術新潮』に長く連載した「気まぐれ美術館」のなかで言及しているものも含まれます。氏の遺したそれらの文章を通しても、このコレクションは多くの人にとって身近なものでありつづけています。
宮城県美術館は、これまでにも常設展示や企画展を通してそれらを広く公開してきました。このたびの展覧会は、前回の洲之内コレクション展から数えて5年半ぶりの展観となります。