大島康幸(川崎市在住)は、動物の表皮を木彫で表現した「FAKE FUR」シリーズに代表される彫刻家です。モチーフとなった動物の頭部や手足は非常にリアルに彫り上げられていますが、胴体にあるはずの骨や肉の表現はありません。くたりとした表皮の襞(ひだ)やたるみが、そこにあるはずのかたちを観る者に喚起させます。
本展では「時間(とき)の衣」、「始まり」の各シリーズとともに、「FAKE FUR」作品を紹介いたします。また「FAKE FUR」作品を、休館中の川崎市市民ミュージアムの展示室に実際に展示した様子も公開いたします。開館から30余年の展示の痕跡が残る空間で、それら作品は何を問いかけてくるのでしょうか。