平安時代、中宮彰子に仕える女性紫式部によって著された『源氏物語』は、物語そして和歌・連歌といった文学作品のみならず、絵画・音楽・演劇など、日本文化の様々な分野に深い影響を与え、今日まで読み継がれています。
『源氏物語』を含む日本の古典籍は、印刷文化が発達するまで、人の手で書き写された「写本」によって伝えられてきました。現代までに失われてしまったものも多くある中で、今私たちが目にすることができる写本の数々は、一つ一つが長い歴史とともに個々の魅力を持っています。
このたびは、天理図書館が所蔵する『源氏物語』資料群から主要な物語写本・絵画資料・自筆注釈書等を展示いたします。長い時間を経て今ここに伝存する各資料の姿をご覧いただき、それらを伝えた先人たちの思いを受け取っていただければ幸いです。