当館では、設立の礎となった大谷竹次郎氏旧蔵品を中心に、現在約150点の日本画を収蔵しています。「日本画」とは、主に岩絵具や膠を原材料に用いた絵画の総称です。この言葉は明治以降、従来の技法で描かれた絵画を、西洋の技法で描かれた「洋画」と区別するために用いられ始めました。
明治時代に日本が近代国家として再編されていくなかで、「美術」や「絵画」の諸制度も形成されていきました。「日本画」についても様々な議論がなされ、明治20(1887)年代に美術用語として定着します。そうした時代の流れの中で、時に古典作品や西洋の技法に学びながら切磋琢磨した画家たちによってさまざまなスタイルの作品が生み出され、「日本画」は独自の道を歩み始めます。
当館所蔵の日本画は、大正時代から戦前にかけての作品が大半を占め、作者も画題も様々です。しかし、これらの作品が描かれた時代背景や作家達の関係性といった観点から見ると、共通している事柄や深い関わりが浮かび上がってきます。
本展では、画家同士の関係性や、当時好まれた画題などのテーマごとに当館のコレクションを展観します。当館所蔵の日本画コレクションの新たな魅力を発見する契機となれば幸いです。