ザオ・ウーキー(趙無極、1921年生まれ)は、中国で絵画を学び、戦後間もなく渡仏しました。やがて詩人アンリ・ミショーに認められ、戦後のパリ画壇に確固たる地歩を固めてゆきます。依頼、今日まで半世紀以上にわたり、パリを拠点として、絵画のあるべき姿を模索してきました。その作品は、アンフォルメルや抽象表現主義など、第二次世界大戦後の欧米における前衛芸術の展開をふまえながらも、書や水墨画といった東西の造形伝統を色濃く感じさせ、抽象絵画に独自の境地を切り開いたものであると言えるでしょう。
本展覧会は、近年ますます表現の郷土を増しつつあるザオの芸術を初期から現在に至る約70点の作品(油彩、水彩、水墨画、版画)によって振り返るものです。国内最大のザオ・コレクションを持つブリヂストン美術館の所蔵品15点をはじめ、欧米やアジアの美術館および個人コレクターの所蔵品を加えた作品が、エネルギーに満ちた豊饒なザオの造形世界を開示してくれることでしょう。