本学のアートとデザインにかんする研究と教育は、東京高等師範学校から東京教育大学を経て引きつがれてきた美術アカデミズムの確かな脈流と、筑波大学として生まれかわって以降リズムを刻みつづけている新たなアートとデザインの鼓動で成りたっている。そこには保守と先取、あるいは伝統と超克のあいだの環流がある。
芸術系が管理する800点の作品資料「筑波大学アート・コレクション」(UTAC=University of Tsukuba Art Collection)のうち、現役・退職教員による寄贈作品や卒業・修了制作からの買上作品等およそ600点は、本学のアートとデザインをめぐる研究と教育のショーケースである。
学士課程および大学院博士前期課程でのアートやデザインの学修は、卒業・修了制作に結実する。そのなかでとくに優れた成果は「芸術賞」と「茗渓会賞」を授与され、UTACに加えられるべく買いあげられてきた。「芸術賞」は1997年度に、「茗渓会賞」は2006年度に始まった授賞制度であるため、実際にはここ四半世紀たらずの成果であるとはいえ、それより前の四半世紀に蓄積されたレガシーを直に受けついでいる。開学50周年を記念する今回の展覧会では、一連の買上作品から選んだ25点の作品によって、脈流と鼓動の来し方を回顧し、行く先を展望する。