20世紀を代表する巨匠の1人、マルク・シャガール(1887-1985)は、鮮やかな色を使った幻想的な絵画で親しまれ、「色彩の魔術師」とも呼ばれる画家です。本展では、当館コレクションよりシャガールの「サーカス」をテーマに刊行された版画集を紹介致します。
19世紀末頃から20世紀初頭にヨーロッパ諸国で全盛期を迎え、一般大衆から貴族まで、多くの人々を魅了してきたサーカスは、シャガールをはじめ、ピカソや、ルオーなど多くの芸術家たちがテーマとして取り組み、数々の作品を残しています。
華やかな表舞台とは対照的な貧しい舞台裏、サーカスの人々の生活を人生の縮図であると捉えたシャガールは、モチーフとして描き続けた恋人達やバイオリン弾き、故郷の風景などを織り交ぜながら、自身の人生を大きく重ねて表現しました。
本版画集(出版された250部のうち当館所蔵品は54番目)は、これまでのシャガールの人生や芸術の集大成ともいえるでしょう。
サーカスの華やかな舞台の「光」と、その裏にある「影」を人生になぞらえ描かれたシャガールの、色彩豊かで幻想的な世界をお楽しみください。