武蔵野市ゆかりの洋画家、江藤純平(えとう・じゅんぺい 1898-1987)と大津鎭雄(おおつ・しずお 1920-2008)の風景表現に着目します。
江藤純平は穏健な人物表現で知られますが、風景を題材とした作品も多く、戦後は陽光まばゆい小豆島の風景を描いて高く評価されました。大津鎭雄は重厚かつ特徴的な筆致で国内外の風景を追究、1960年代以降に取り組んだヨーロッパの風景は、彼の代名詞ともなりました。
歳は20以上離れているふたりですが、時を同じくして武蔵野市に暮らし、日展で活躍したほか、武蔵野文化事業団(当時)の役員をつとめるなど共通点は多く、とくにふたりがフランスの画家P・セザンヌを敬愛していたことは特筆に価します。
今回は、武蔵野市が所蔵する大作のほか、スケッチや関係資料など、約40点によって江藤純平と大津鎭雄の仕事を紹介します。ふたりはそれぞれ「風景」を通してなにをあらわしたのでしょうか。ふたりがおとずれたさまざまな場所にも想いを巡らせつつ、「風景を描く」ということの意義を、感取いただければ幸いです。