「よだれを垂らしながら、ありったけの力をぶつけて引く線のうしろに、らんの花がひとつずつ増えていくのは、絵というよりも、胸の中に開き始めた希望だった。怪我をしたことは、私にとって決してマイナスばかりではなかった。初めて描き上がった絵を見ながら思った。」『風の旅』で富弘さんはこのように語っています。草花をじっくり観察して描く富弘さん。富弘さんはその草花を通して、いのちの力強さや儚さ、尊さも見つめ、添えられた詩は私たちの背中をそっと押してくれます。
日々の生活の中で、自分の力ではどうしようもできないものにぶつかったとき、言葉にならないさみしさに包まれそうになったとき、富弘さんの詩画は、私たちが奥底に持ついのちの輝きを教えてくれるようです。
企画展「それでも咲いた」では、花を通して生命と向き合う作品やエッセイを紹介します。
また、季節の草花を描いた「秋の展示」を同時開催します。ぜひ、ご覧ください。