今回の展示のこと
ネタ帳への記載は山ほどありますが、そこから選別し決定という段階に踏み切れない時間が必ず訪れます。
そんなときは、不安の減少と少しでも事を前進させるために、視野にはいるモノをとにかく描き始めます。インク缶、オイル缶、溶剤ボトル、展覧会カタログの商人や船長の絵など、いろいろです。
前より小さなドローイング帳に変えたので、それぞれは別ページに描くこととなり、絵のスケール(たてxよこ)は大抵同じになっていきます。
まさに静物画なモノと、そうでもないモノを、スケールを合わせ同一画面に並べると、ヘンテコな味わいが出ることに気づきました。これはフィギュアや根付け、ジオラマや盆栽などと同じ、日本的なおかしみだと思います。ビデオゲームの空間設定にも通じます。
これを日頃から心掛けている俳句的な言い切りで表していきたいと考えました。
俳句会のように小世界を小品で何句も並べるのが当初のもくろみでしたが、ギャラリーの壁面を考えると、大パノラマに仕立てた方が良いのかなとも思いました。
大パノラマとなる「長い机」の設定だと、絵巻物のように時間の経過も表せます。
そして自動的にストーリー性も帯びることでしょう。
2022年6月15日
今井庸介