リフレインとは、詩歌の中で同じ語句や似ている単語をくりかえす技法のこと。
リズム感を出したり、印象を強めたりする効果があるレトリックだ。
現代社会では、模倣と反復の行為が繰り返され、ものは大量に生産される。
しかし私たちは、自らの手でくり返す。
それは模倣でも反復でもない静かな手と身体のリズムのくり返しで、賑やかな世の中では弱いささやきのようだけれども、しかしくり返した痕跡は、太くて強い祈りの時間の表れだ。
くり返すことで現れる世界は、いつも知らなかったイメージを与えてくれるし、そうして現れた世界は、私が勝手に作った物語ではなく、本当にそこに、現実に、現れた世界だ。
ということが希望に満ちているではないか。
リフレインの先に現れる本当の世界は見紛うことなく美しく、私はとても期待している。
酒井稚恵(本展キュレーション、アーティスト)