1874年、パリに登場した印象派は、都市やその周辺の情景を明るい色彩と自由な筆遣いでいきいきと描き出しました。その中心的な存在であったクロード・モネ(1840-1926)は、とりわけ自然の光に深い関心を持ち、生涯を通じて光と色彩の探求に力を注ぎました。
北フランスのノルマンディー地方の港町ル・アーヴルで幼少期を過ごしたモネは、美しい自然の中で豊かな感性を育みながら風景画家としての道を歩み始め、青年期にはパリに出て友人たちとともに戸外制作に取り組みました。その後、フランス各地や地中海沿岸、イギリスなど、ヨーロッパの国々を旅してその土地の風景を描き、後半生はジヴェルニーに居を構え、自宅の庭にある睡蓮の池を描いた一連の作品で集大成を迎えることになります。
今年は、第1回印象派展が開催されてから130年にあたります。それを記念して本展では、モネの初期から最晩年までの作品を、「初期のモネ」、「『印象派展』の時代」、「連作の時代へ」、「ロンドン風景」、「睡蓮の庭」の五つのコーナーに五十余点を展示し、光の魔術師モネの魅力に迫ります。