ベルナール・ビュフェ(1928-1999)は、黒い輪郭線とモノトーンに近い色づかいで、1940年代後半に独自のスタイルを確立しました。彼の絵画は、見る人に驚き、不安、ショックを与えるだけでなく、第二次世界大戦で疲弊したフランス人の心を見事に映し出していると称賛されました。ビュフェはピカソに比肩する逸材と評され、その人気と名声は、1950年代末にピークを迎えることになります。しかし1960年代になるとビュフェの評価は一変。俗っぽい題材の選択や、時流に逆行する具象絵画へのこだわりが非難の的となり、彼はパリの美術界から排除されていきました。
しかし1980年代になると、ビュフェの才能を称賛する声がふたたび聞こえ始めます。彼の芸術の真価を問い直そうとする動きが出てきたのです。そして2016年、長らく封印されていた全生涯にわたる回顧展がパリで開催されました。2020年代の今は、まさに「ビュフェ・リバイバルの時代」となっているのです。
開館50周年を記念する本展では、1940年代から最晩年にいたるビュフェ作品を通して、20世紀最大のフランス人画家のひとりと言われたビュフェの偉才を再考します。