「人々はメディアからどのように影響を受けるのか」を出発点に、これまで作品を発表してきた笹川治子(1983~)は自身の制作にとどまらず、“戦争画”を今の目線で捉えた「戦争画STUDIES」展(東京都美術館、2015年)や藤田嗣治、戦没画家、現代作家の作品が一堂に会した「1940's フジタ・トリビュート」展(東京藝術大学大学美術館陳列館、2018年)の企画・運営にも携わってきました。
“戦争画”はプロパガンダ、煽動の「メディア」であるという捉え方がある一方で、それは歴とした「絵画」ー色の集まりーとしても存在し、さらには戦争の非常時においても「絵を描きたい」という画家たちの衝動を示す事実としても受け止めることができます。
本展では、従軍画家としての一面を持つ洋画家・中村研一(1895~1967)による絵画作品とともに、笹川による新作を含む絵画、映像、インスタレーション作品をご覧いただきます。
“戦争画”を含む絵画の多面性に注目しながら、描く行為そのものや、描かれたイメージがどのように鑑賞されうるのかなど、絵画を巡るプロセス、ひいてはそこに潜む力について、本展を通して考えます。