出かけよう、諸国の山と海へ。
風景画の第一人者として、幕末に庶民の人気を得た浮世絵師、歌川広重(1797~1858)。広重が江戸の名所とともに盛んに描いたのが、諸国の山や海などの自然を題材にした作品です。広重はその生涯で甲州や房総など、さまざまな場所へ旅に出たことが知られ、旅先で自然を写した経験を作品に活かしました。本展では最晩年の広重が、山と海の美をもとめて描いた揃物「山海見立相撲」全20点を一挙公開するほか、山と海をキーワードに幅広く作品を展観いたします。
展示ではあわせて、「広重は実際に絶景を見たのか?」という視点で、現地を訪れた記録がのこる名所や、既存の地理書の挿絵をアレンジして描いた名所など、その風景画制作の様子についても紹介。また各地の山と海の大自然に根付いた江戸時代の信仰についても作品から読み解きます。浮世絵に描かれた絶景を、旅をする気分で楽しみつつ、広重の画業をもっと深く知ることができる展覧会です。