平櫛田中は、大正3年の再興第1回院展に出品して以来、日本美術院の同人として長きにわたり近代木彫を代表する幾多の名作を発表しています。院展は優れた芸術家を輩出し、現在に至るまで近代日本美術を牽引してきました。
田中の作品の特徴の一つに鮮やかな彩色が挙げられますが、彩色は表現技法を熟知した彩色の専門家や日本美術院の同朋に依頼しており、田中の彩色への関心の高さは代表作《鏡獅子》の誕生に繋がります。
田中は日本美術院にゆかりのある画家たちの作品を旧蔵しており、そのコレクションの一部が当館に所蔵されています。本展では、田中が敬慕する岡倉天心の遺志を受け継ぎ、日本美術院を再興した横山大観や下村観山、木村武山の作品から、現在活躍する院展作家の作品までをご紹介します。院展の画家たちが歴史を紡ぎながら開花させた美しい日本画の世界をお楽しみください。